本の修復、完成です!

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    いきなりですが、本の修復、完成しました!

    こちらです。

    2014-06-08 07.18.20

    中身はこちらです。

    2014-06-08 07.02.49

    笠原邦彦先生の若き頃、1966年発行の名著「折り紙を楽しむ本」です。

    調べたらamazonに古書として出品されていました。今買うと5800円です。

     

    子供の頃はずいぶんこれで折り紙を作りました。いまだに折り紙やペーパークラフトに凝っている私のいわば原点の本です。乱暴な男子3人に遊びつくされ、紙は破れ、かがってあった糸も全部外れてばらばらになっていたのを、10年前にふと修復を思い立ち、図書館で修復関連の本を借りたり、紙屋さんに行って材料を仕入れたりしていたのですが、何となく立ち消えになっていました。それがどうしたことか、最近急にやる気が湧き出してきまして、材料も大体あることだし、いっちょやってみるか、となったのが今回の始まりでございます。

    残念ながら面倒くさくて修復の一部始終を写真に収めるまではしませんでした、ので、これからその概要のみをお披露目させていただきます。

     


     

    まずは、当時図書館で借りて、一部コピーしてあった参考書を探し出すところからスタートです。ありそうな場所は判っているのです、でも色々な荷物の奥になっていてそこにたどり着くのが大変なのです。小一時間探索した結果、ありましたありました。つまり2冊ありました。まずはこちら、「図書の修理と製本」(光田実著)です。

    特に学校図書館で図書を修復する手法が事細かに記されていて、非常にためになりました。

    もう1冊はこちら、「ワープロで私家版づくり」(栃折久美子著)

    本格的な手製本の一部始終が写真入りで解説されています。これも非常に役に立ちました。

    両者の間で若干の違いはあるのですが、そこは自分がやるわけですから、都合のいいようにアレンジして、良い所取りで行くことにしました。

     

    次に道具一式がこちら。ほとんど百均やホームセンターで仕入れたものです。

    2014-06-08 06.55.49

     

    順に解説していきましょう。

    ・カッターマット:カッターを使うときに使います。

    ・千枚通し:これは狭いところに「のり」を入れる為に「楊枝」代わりに使いました。

    ・へら:本紙の背にボンドを入れ、背貼り布やクータ(後述)を貼るときに使いました。

    ・デザインナイフ:定規を当ててカッターマット上で紙を切るときに使用しました。

    ・カッターナイフ:紙を折り目に沿って切り開くときに使いました。

    ・はさみ:紙や布をフリーに切るときに使いました。

    ・金ノコ:本紙の背にかがり穴をあける為に使用しました。

    ・30cm物差し:短いものの長さを測るためと、カッターガイドとして使用しました。

    ・巻尺:30cmより長いものを図るために使用しました。

    ・木工用ボンド:水で薄めて、主に本紙の背堅めや、表紙づくりに使用しました。

    ・でんぷんのり:破れた本紙に和紙をはって修復するとき、本紙の見返し紙と表紙の貼り付け等に使用しました。百均でビニール袋に入って売っていたので、一緒にはちみつ入れの容器を買って入れてやりました。

    ・ふた付きの容器2個:でんぷんのりと木工用ボンドを水で薄める為に使いました。乾かないようにふたがあるものが良いです。

    ・針:これは製本用の、先端がなまらせてある針です。これは材料と一緒に紙の専門店(後述)で買ってきました。本をかがるために、ガスレンジであぶってペンチで曲げました。

    ・細めの木綿糸:普通に百均で3個パックで売っている奴です。もちろん本のかがり直しに使いました。道具というよりは材料の一部かもしれません。

    ・板切れ2枚:本紙の背堅め中に本を挟んでおいておくために使いました。ホームセンタの端材コーナーで見繕ってきたものです。写真にある「ラップ」をぐるぐる巻いて固定しました。

    あと、写真にはありませんが、針金ハンガー2個(表紙と本紙を接着したときに、表紙と背表紙の間の溝に当ててしっかり接着させるように使用)とペンチ2個(先程の針を曲げる為に使用)、100円程度の刷毛(ボンドやのりを塗るため)も使いました。

     

    そして、主な材料がこちら。

    2014-06-08 15.15.37

     

    こちらも解説します。左から順に行きます。

    ・ボール紙(百均):背表紙の「しん」に使いました。

    ・クラフト封筒(百均):背表紙と本紙の間に入れる「クータ」と呼ぶ袋のようなものを作るのに使いました。

    ・B5のコピー用紙(百均):破れてなくなってしまっていた1ページ(幸い、「目次」のページでした)をパソコンで再現して印刷するために使用。本紙がB6版、つまりB5を2つ折りにした紙で出来ているのでこのサイズがぴったりでした。ただ、120枚入りで、たっぷり余りましたので、最後に表紙と本紙を貼りつけたときに、水分吸収用に束にして贅沢に挟み込んでやりました。

    ・ボール紙(2mm厚):ここから右の材料は紙専門店「紙の温度」(名古屋市熱田区)で買い揃えました。ボール紙はもちろん、表紙と裏表紙の「しん」用です。

    ・背貼り布:粗めの布地に紙を裏打ちしたもので、本紙の背の補強に使います。10年前に買った時には、いわゆる「寒冷紗」と、似たような布を試しに色々買ってみたのですが、しばらく放っておいた間にどれがどれだかわからなくなっていました。。。今回は割と細かい折りの布を使ったのですが、良く使われる寒冷紗は結構粗い奴だったようです。ま、いっか。

    ・薄緑色の厚手の和紙:「見返し紙」に使用。2つ折りにしたものを本紙の最初と最後にそれぞれはさみ、2つ折りの片側(の根元)を本紙に、もう一方を(べったりと)表紙に貼り付けることで、本紙と表紙をつなげる部品になります。

    ・緑色の布:紙で裏打ちしてあります。表紙がぼろぼろになっていたので、これで新しく作り直しました。

    ・雁皮紙(がんぴし):薄くてしっかりとした和紙です。本紙はB5サイズの紙を2つ折りにして作られていると言いましたが、この折り目が破れてしまっているものが多数ありましたので、細いテープ状にしたこの紙をのりで張り付けて補強してやりました。

    あと、写真に無いものがいくつか。

    ・しおり紐:MARUMIZU-GUMIオンラインショップで購入。

    ・古いワイシャツ:太く撚った糸をくるんで、花ぎれ(背表紙の上下の内側にある布のようなもの)に使用。

     

     

    補修の手順は、概略以下の通りです。

    (1) 失われていた目次の1ページを、他の目次ページと実際の見出しを参考に再現し、印刷。

    (2) 雁皮紙の紙テープを作り、2つ折りになった本紙の折り目(「のど」といいます)が破れているところに、水で薄めたでんぷんのりで張り付けて補強。外側にだけ貼ればよいと参考書に書いてあったのを無視して表裏に貼ったら、乾いた後に堅くなりすぎて失敗・・・・。

    (3) 4枚1折にした「折丁」を順番に並べて上下を整えたら、板で挟んで一旦固定。長めの板の真ん中あたりに本紙をはさみ、両側の余った部分にラップを巻き付けて固定した。固定したら、元のかがり糸が通っていた穴の位置に合わせて、金ノコで削ってかがり穴を開けなおす。開けたら一度固定解除。

    (4) 「ワープロで私家版づくり」を参考に、「1本針かがり」ですべての折丁を順にかがってゆく。「1本針かがり」の詳細はまたの機会に。かがり終わったら見返し紙を準備し、根本5mm〜10mm程度にのりを付けて本紙の前後に貼りつける。

    (5) 折丁を少しずつずらしてやって、背に丸みをつける。出来たら再び板に挟んで固定。この後本来なら背の縦の縁を金づちでたたいて「山出し」をするのだが、各折丁ののどを分厚く補強してしまったおかげで、叩かずともキノコのように山が出た状態。金づちが手元に無いこともあり、山出しはサボり。

    (6) 本紙の背にボンドを塗りこみ、へらで良くしごく。各折丁ののどがなめらかにつぶれたら、再度ボンドを塗って背貼り布を貼りつける。貼り付けたら、上部にボンドでしおり紐を貼りつけ、その上から、太く撚った糸をくるんだ「花ぎれ」を、背表紙の上部と下部にボンドで張り付ける。糸をくるんだ部分が背表紙の上下にはみ出るように貼るのがポイント。最後に、輪っか状(封筒の口と底を切り取った感じ)にしたクラフト紙「クータ」を背表紙全体に貼り付ける。

    (7) さてここで表紙の準備。裏打ちした布を裏向きに置き、元の表紙と同じ大きさに切ったボール板、7mmの隙間、背表紙、7mmの隙間、裏表紙と、ボール板/紙の置き場所の枠を書く。布は枠の外に15mm程度の余裕を残して切手おく。その枠に水で薄めた木工用ボンドを刷毛で塗り、表紙と背表紙をしっかり接着。

    (8) 布の四隅を、5mm程度の余裕を持たせて斜めに切り取る。その後、上下の布の余裕部分にもボンドを塗って、引っ張るようにしてボール板/紙の上に折り返す。7mmの隙間の部分はヘラでしっかり押さえておく。最後に四隅をきれいに整えてから左右の余裕部分もボンドを塗って折り返してボール板に張り付ける。これで表紙の準備は完了。

    (9) そうしたら、まず本紙の背に貼ったクータと、背表紙の内側と7mmの隙間部分に水溶きボンドを塗り、しっかりと張り合わせる。特に溝の部分はヘラなども使ってしっかり形をつけると同時に、布がちゃんと見返し紙に貼りつくように抑える。

    (10) 見返し紙に少し水でゆるくしたでんぷんのりをひき、背固め布部分にボンドを塗ったら、表紙を下して張り合わせる。2つ折りの見返し紙の間に、水分吸収用の紙を何枚か挟んでおく。この状態で、表紙と裏表紙の溝の部分に針金ハンガーのまっすぐな部分を当て、ずれないようにその上から全体におもり(私の場合は本をたくさん)を乗せて数時間放置。

    (11) 少しまだ湿り気が残っている状態の時に、表紙のそりを直してやると出来上がりです。

     

     

    いやぁ、構想から苦節10年、というか、途中さぼっていただけなのですが、遂に完成しました。始めてみると結構楽しかったです☆。もう1冊何か作れるくらいの材料があるので、次は何かオリジナルの本をつくってみようかなぁ。なんて思ったり思わなかったり。

    とりあえず、しばらく休憩です。


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